技能実習生のSNS利用実態とは?国別の特徴と企業が注意すべきポイントを解説

日本の中小企業にとって、外国人技能実習生の受け入れは人手不足を補う重要な手段となっています。しかし、文化や言語の違いだけでなく、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用方法にも注意が必要です。SNSは実習生にとって母国の家族や友人とつながる大切な手段である一方、トラブルの原因にもなり得ます。

本記事では、主要な送り出し国であるベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ、ミャンマーのSNS事情や、実際に起こったトラブル事例、そして企業が取るべき対策について解説します。

1. 国ごとのSNS事情と企業が理解すべきポイント

ベトナム

SNS事情

ベトナムではFacebookの利用率が非常に高く、若年層を中心にInstagramやZalo(ベトナム発のメッセージアプリ)も広く使われています。特にZaloは、国内での連絡手段として一般的です。

文化社会的背景

ベトナムでは、家族や友人とのつながりを大切にする文化があります。そのため、SNSを通じて日常の出来事を共有し、コミュニケーションを図ることが一般的です。

企業が理解すべきポイント

実習生がSNSでの情報発信を通じて母国の家族とつながることは、精神的な安定につながります。一方で、職場の情報や写真を無断で投稿することによる情報漏洩のリスクもあります。企業は、SNS利用に関するガイドラインを設け、適切な教育を行うことが重要です。

インドネシア

SNS事情

インドネシアでは、WhatsAppが主要なコミュニケーションツールとして広く利用されています。また、FacebookやInstagramも人気があります。

文化社会的背景

インドネシアは多様な文化を持つ国であり、宗教的な価値観が強く影響しています。SNS上でも、宗教的な投稿や家族との交流が頻繁に見られます。

企業が理解すべきポイント

宗教的な行事や習慣に配慮した対応が求められます。SNS上での宗教的な表現についても、企業は理解を深め、適切な対応を心がける必要があります。

フィリピン

SNS事情

フィリピンでは、Facebookの利用率が非常に高く、MessengerやInstagramも広く使われています。SNSは、家族や友人との連絡手段として欠かせない存在です。

文化社会的背景

フィリピン人は家族との絆を重視し、SNSを通じて日常の出来事を共有することが一般的です。また、英語の使用率が高いため、英語での投稿も多く見られます。

企業が理解すべきポイント

SNS上での情報共有が活発なため、企業の情報が意図せず拡散される可能性があります。企業は、情報管理の重要性を実習生に伝え、適切な対応を行うことが求められます。

タイ

SNS事情

タイでは、LINEが主要なコミュニケーションツールとして広く利用されています。また、FacebookやInstagramも人気があります。

文化社会的背景

タイでは、家族や友人とのつながりを大切にする文化があります。SNSを通じて、日常の出来事や感情を共有することが一般的です。

企業が理解すべきポイント

SNS上での情報共有が活発なため、企業の情報が意図せず拡散される可能性があります。企業は、情報管理の重要性を実習生に伝え、適切な対応を行うことが求められます。

ミャンマー

SNS事情

ミャンマーでは、Facebookの利用率が非常に高く、主要な情報源としても利用されています。また、MessengerやViberも広く使われています。

文化社会的背景

ミャンマーでは、家族や友人とのつながりを大切にする文化があります。SNSを通じて、日常の出来事や感情を共有することが一般的です。

企業が理解すべきポイント

SNS上での情報共有が活発なため、企業の情報が意図せず拡散される可能性があります。企業は、情報管理の重要性を実習生に伝え、適切な対応を行うことが求められます。

2.国別の主要アプリと利用率

国名 主要アプリ アプリ別の利用率(人口比)
ベトナム Facebook
Zalo
YouTube
Facebook:約71%
Zalo:約64%
YouTube:約79%
インドネシア WhatsApp
Facebook
Instagram
WhatsApp:約88%
Facebook:約80%
Instagram:約67%
フィリピン Facebook
Messenger
TikTok
Facebook:約95%
Messenger:約92%
TikTok:約68%
タイ LINE
Facebook
Instagram
LINE:約85%
Facebook:約78%
Instagram:約66%
ミャンマー Facebook
Messenger
Viber
Facebook:約56%
Messenger:約50%
Viber:約43%

※出典:DataReportal「Digital 2024」国別レポート

3. 実際に起こったSNSトラブル事例

  • 事例①:SNSでの暴力動画拡散による日本のイメージ悪化
    2020年、ベトナム人技能実習生が日本での劣悪な労働環境を訴える暴力動画をSNSで拡散。これにより、日本での実習を希望するベトナム人が減少する傾向が見られました。
    引用元:朝日新聞
  • 事例②:SNS上の甘い勧誘により犯罪に関与
    2024年、SNS上で高収入を謳う違法な仕事の勧誘を受けたベトナム人技能実習生が失踪し、不法滞在となった末に窃盗事件に関与するケースが報告されました。
    引用元:SBC信越放送
  • 事例③:SNSでの待遇比較による不満の増加
    SNSを通じて他の企業の実習生と自分の待遇を比較し、不満を抱く技能実習生が増加。これが原因で職場でのモチベーション低下や退職希望が相次ぐ事例が報告されています。
    引用元:エヌ・ビー・シー協同組合
  • 事例④:SNSを通じた詐欺被害
    SNS上で知り合った人物に個人情報を提供した結果、詐欺被害に遭う技能実習生が報告されています。スマートフォンの購入を持ちかけられ、パスポートや在留カードの情報を提供したところ、詐欺業者に悪用されたケースがあります。
    引用元:AHR協同組合
  • 事例⑤:SNS上での個人情報の悪用
    技能実習生がSNS上で知り合った人物に個人情報を提供した結果、詐欺や不正契約に利用される被害が報告されています。個人情報の取り扱いに関する教育と注意喚起が必要です。
    引用元:三愛友好交流協同組合
  • 事例⑥:SNSでの虚偽の求人情報
    SNS上で高収入を謳う虚偽の求人情報が拡散され、実習生が現職を辞めて転職を試みた結果、詐欺に遭うケースが報告されています。このような情報に惑わされないよう、実習生への教育が重要です。
    引用元:外国人雇用相談室
  • 事例⑦:SNS上での政治的発言が炎上、職場に影響
    2023年、インドネシア人実習生がFacebook上で政治的な意見を投稿し、それが一部コミュニティで拡散。職場に抗議の電話が入るなど波紋が広がった。
    引用元:共同通信

4.SNS教育の方法

外国人技能実習生がSNSを適切に活用するためには、企業が計画的に教育を行うことが不可欠です。以下のようなステップでの対応が効果的です。

(1)入国時オリエンテーションで基本ルールを伝える

  • 会社の内部情報(工場の写真・工程・商品など)は許可なく投稿しない
  • 顔写真や同僚の情報を無断でSNSにアップしない
  • 政治的・宗教的な発言はトラブルに発展する可能性がある
  • 日本語が読めなくても、投稿前には内容を確認してもらう

可能であれば、母国語で作成したガイドライン冊子や動画を用意すると、理解度が高まります。

(2)具体的な事例をもとに教育する

前述のような実際のSNSトラブル事例を紹介し、「なぜそれが問題なのか」「どうすれば防げたか」を考えることで、実習生自身が納得しやすくなります。

たとえば、
「同僚の写真を無断で投稿したことで、プライバシー侵害と判断され、トラブルになったケースがあります」
といった実例とともに説明すると、理解が深まります。

(3)監理団体や通訳者との連携

監理団体や登録支援機関、通訳者と連携して、SNSに関する定期的なチェックや相談窓口を設けることも重要です。特に、個人情報の提供やSNSでの知らない相手とのやりとりについては、繰り返し注意を促す必要があります。

(4)SNSを活用した良好な関係づくり

SNSを単なるリスクととらえるのではなく、上手に活用すれば実習生との関係構築に役立ちます。たとえば、職場での行事や交流会の写真を社内共有グループで紹介するなど、ポジティブな使い方を促す工夫も効果的です。

まとめ

外国人技能実習生にとって、SNSは母国の家族とつながるための大切な手段です。一方で、日本の職場においては、SNSの使い方によってはトラブルに発展するリスクもあります。

本記事では、以下の内容を解説しました:

  • 国別のSNS利用傾向と文化背景(ベトナム・インドネシア・フィリピン・タイ・ミャンマー)
  • 利用される主要SNSアプリと人口比での利用率
  • 実際に起こった7つのSNSトラブル事例(引用元付き)
  • 企業ができるSNS教育の方法と具体的な指導ポイント

企業側が実習生のSNS事情を理解し、適切な教育と配慮を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。技能実習生の日本での生活と職場環境がより安心で安全なものになるよう、企業としての取り組みが今後ますます重要になるでしょう。

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