1.はじめに
技能実習生の中には、異国での暮らしになじめず、生活面で困る人も少なくありません。企業には、実習生が安心して生活し、仕事に専念できる環境づくりが求められます。
そのため「生活指導員」の選任が義務付けられています。生活指導員は、実習生の生活全般の相談や支援を担当し、失踪やトラブルを未然に防ぎます。
ただし、「生活指導員」は選任を義務付けられ、資格などの要件が不要なことから、適任であるかを検討せず選任してしまうケースがあります。
この記事では、「生活指導員」の概要から選び方まで詳しく解説しています。
2.生活指導員の役割と注意点
生活指導員とは
生活指導員とは、技能実習生の生活面を支援・指導する担当者です。現場での技術指導は技能実習指導員が担当しますが、日常生活での困りごとや相談に乗るのが生活指導員の役目です。
たとえば、住宅や食事、習慣の違いへの指導、日本語でのコミュニケーション支援などを行い、実習生が安心して生活できるようサポートします。これにより、実習生が抱える不安を和らげ、日本の職場になじむことが期待できます。
法的義務
技能実習法施行規則では、各事業所に1名以上の生活指導員を選任することが義務付けられています。活指導員には特別な資格は不要ですが、以下の要件を満たす必要があります。
- 実習生を受け入れる会社の常勤の職員であること
-
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過している者
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過去5年以内に入管法や労働法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者でない者
- 未成年でないこと
また、生活指導員は講習の受講義務はありませんが、受講修了者は優良実施者の評価で加点となるため、できれば講習を受けるとよいでしょう。
現場での対応
生活指導員は実習生の生活相談窓口として行動します。
毎日の暮らしぶりを把握し、悩みや問題があれば早期に対応します。
具体的には、住居でのトラブルや病気・けがへの対処、労働条件や制度の説明なども含まれます。実習生が日本語に不安がある場合は通訳や簡単な日本語指導を行い、相互理解を促します。必要に応じて、監理団体や行政とも連携し、実習生を守るための支援を検討します。
なお、生活指導員は他の役割(責任者や指導員)と兼務することも可能です:が、業務が重なるため十分に時間を確保できる人を選ぶことが重要です。
3.生活指導員が機能した時のメリット
離職・失踪の防止
日常生活での相談相手がいることで、実習生は問題を抱え込まずに済みます。早期に不満や困りごとが解消されれば、逃亡や退職のリスクが減ります。
定着支援
生活指導員の支援によって実習生の満足度が高まれば、長期在籍につながります。定着率が上がれば、教育・採用コストの削減や安定した人材確保という企業利益につながります。
生産性向上
安心して生活できる環境では、実習生も仕事に集中できます。たとえば、定期的な日本語学習会を社長が主導した会社では、実習生の日本語能力が向上し、社長や社員とのコミュニケーションが深まり、現場の雰囲気が良くなりました。
企業評価の向上
生活指導員を適切に配置し、実習生を丁寧に支援する企業は、厚労省や入管庁から優良な実施者と認められやすくなります。実際に、生活指導員が講習を受講したり活躍している企業は評価が高まり、行政手続きで優遇されるケースがあります。
信頼感の醸成
生活指導員を通じて実習生の家族とも連携する企業もあります。例えば、千葉県のある企業では実習生の親に季節の手紙を送る取り組みを行い、家族に安心感を与えることで実習生のやる気アップにつながりました。
4.生活指導員が企業にメリットをもたらした事例
日本語教室の開催
実際に有能な生活指導員の存在が成果を上げた例があります。ある製造業の会社では、生活指導員が定期的に実習生向け日本語教室を開きました。
これにより多くの実習生が日本語能力試験N2に合格し、社長や他の社員との交流も深まりました。結果として、会社全体の雰囲気がよくなり、実習生の離職も減少した事例があります。
挨拶状の送付
別の企業では、生活指導員が実習生の母国の家族向けに季節の挨拶状を送る活動を行いました。生活指導員は「実習生は我が子のように責任を感じる」と話し、手紙で感謝と近況を伝えました。この取り組みは家族に安心感を与え、実習生のモチベーション向上にもつながりました。
これらの事例から、生活指導員のサポートはりました企業と実習生双方にとって大きなメリットになるとわかります。
5.まとめ
生活指導員は、外国人技能実習生が快適に日本で暮らし、学べるよう支援する重要な存在です。
法令で配置が義務付けられていることから、その職員が生活指導員に適任かあまり考慮することなく選任するケースが多いです。ただし、生活指導員がうまく機能すれば、実習生の離職防止や定着、企業のイメージアップなど多くのメリットが得られます。
担当者の選任には社内の他業務との兼ね合いを考え、実習生とのコミュニケーション能力や責任感を持つ人物を選ぶことが大切です。
良い生活指導員を選任することが、実習生受け入れを成功させるコツです。
新たに技能実習生を受け入れる際、是非本記事を参考にしてみてください。

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