技能実習生はなぜ多額の借金をするのか?~実態と解決策~

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1.はじめに

令和4年7月26日、出入国在留管理庁より「技能実習生の支払い費用に関する実態調査について」が公表されました。

社会問題化した技能実習生の失踪の背景として、不当な費用徴収がされていることが疑われることから、実態を把握するために行われた調査です。

以下が国別に借金をしている割合です。

技能実習生の来日するために母国で借金をした割合

「2022年法務省「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」参照」

ベトナムやカンボジアでは、8割の技能実習生が母国で借金を抱えた状態で来日しています。この借金の多くは、技能実習生になるための手続き費用や職業紹介費用を賄うために負うケースです。

本記事では、技能実習生が抱える借金の実態と、その背景、そしてその対応策について詳しく解説します。   

2. 技能実習生が借金を抱える理由  

技能実習生が借金を背負う主な理由は、来日前に支払う派遣手数料にあります。多くの技能実習生は、母国にある送出し機関を通じて日本での仕事を見つけますが、この手続きに高額な費用がかかることが少なくありません。

国別の主な費用の内訳は以下の通りです。

技能実習生の送出し機関に支払う費用の内訳
  • その他日本語教育機関の生活費の負担が60~100万円程生じます。また、ビザ申請など手続き関連費用や渡航費は企業負担となります。

「2022年法務省「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」参照」

これらの費用は、実習生にとって大きな負担となっています。

なお、以下が国別の送出し機関への費用と借金総額の平均値です。

技能実習生の送出し機関に支払う費用と借金の総額の平均額

「2022年法務省「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」参照」

送出し機関に支払う費用については、ビザ申請時に求められる書面に記載することもあり、基本的には適正なものになります。この点、仲介者の存在が借金の原因となるケースもあります。

また、以下が借金の返済期間のグラフです。

技能実習生の借金の平均支払期間

「2022年法務省「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」参照」

グラフを見て分かる通り、返済期間2年以内が97.3%を占めています。技能実習生が基本的に3年の期限であることから、来日中に返済できることを見越して借金を抱えるケースが多いと窺われます。

この借金の負担の影響は少なくありません。次に、借金が技能実習生に及ぼす影響について述べます。  

3. 借金が技能実習生に及ぼす影響

借金が技能実習生に及ぼす影響について、主に以下があります。

 (1) 高額な借金返済による精神的負担

実習生には、家族のために日本で働き、母国に仕送りをしているケースがあります。しかし、借金の返済が優先されるため、十分な額を送金できないことがあります。

このため、返済期間が長引くほど、借金が精神的負担として重くのしかかります。

 (2) 借金返済のための無理な労働

借金を早く返済しようとするあまり、無理な労働を続ける実習生も少なくありません。彼らはできるだけ多くの収入を得るために、休日出勤や残業を希望しがちですが、過労が原因で体調を崩すケースもあります。

また、過労によって職場でのミスや事故のリスクも高まります。これは実習生本人だけでなく、受け入れ企業にも影響を及ぼす問題です。

 (3) 逃げ場が無くなる状況

技能実習生は、原則として受入れ企業でのみ働くことが義務付けられているため、労働条件が厳しい場合でも雇用先を自由に変更することができません。

思ったような収入が得られず、借金返済のために働き続けることが困難な環境であっても、雇用先の変更が難しいため、逃げ場のない状況に追い込まれることがあります。    

4. 借金の背景にある仲介者の問題

 (1) 仲介者の問題

技能実習生の借金問題の問題として、母国での「仲介者」の存在があります。以下が、仲介者へ支払った費用の総額の平均値です。

技能実習生の仲介者への支払額

「2022年法務省「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」参照」

特にベトナムでは仲介者への手数料が高額なこともあり、借金を負わせる大きな要因となっていることは間違いありません。

ただし、海外では日本の認識と異なり、仲介者(ブローカー)へ報酬を支払うことは通常の事です。

この点だけをことさらに取り上げて借金の実態を歪めてはならないかと思います。一方で規制しにくい仲介者に対してどのように対処していくか今後対応が求めれている様に感じます。

 (2) 悪質な手法

悪質な仲介業者は、技能実習生に対して不正確な情報を提供することがあります。

「日本で働けばすぐに借金を返済できる」や「高い給与が得られる」といった誇大広告で実習生を勧誘し、実際には返済が困難な額の借金を負わせるケースがあります。

残念ながら、送出し機関の中にもそのように事実と異なる情報を提供することで実習生に借金を負わせるケースがあります。

 (3) 日本政府や国際機関による対策

日本政府もこの問題を認識しており、技能実習生の来日前に高額な手数料を課すことを制限するための規制を導入しています。

また、国際労働機関(ILO)や国連も、外国人労働者が不当に搾取されることがないよう、送出し国と連携して監視や改善を進めています。特に、技能実習生の人権や労働条件の保護が重要視されています。   

5. 借金問題へのサポートと解決策

技能実習生が安心して働ける環境を整えるためには、受入れ企業や監理団体などのあらゆる団体のサポートが必要となります。

 (1) 事前の情報提供と教育

技能実習生が母国で誇大な期待を抱かないよう、事前に正確な情報提供を行うことが重要です。送出し機関や日本の受け入れ企業は、日本での生活費や給与、借金返済の現実について具体的なデータを基に説明し、実習生が適切な判断をできるようサポートする必要があります。            

 (2) 送出し機関の監視と認証制度の強化

送出し機関の質を向上させるためには、各国政府が送出し機関を厳格に管理し、認証制度を導入することが有効です。日本も、悪質な業者の排除や監視体制の強化を行うため、送り出し国との連携を強化しています。

認証を受けた信頼できる送出し機関のみが技能実習生を送り出せるようにすることで、実習生が過剰な借金を負わされるリスクを軽減できます。                

 (3) 日本でのサポートの充実

借金に不安を抱える技能実習生のために、サポートを充実させることも重要です。

この点、本来であれば外国人技能実習機構がそのサポートを行うべきですが、行き届かないことがあり、民間の団体が技能実習生の駆け込み寺としての役割を果たすケースがあります。

このような駆け込み寺が自生するようでは、支援団体や地方自治体の連携が上手く図れていないと言わざるを得ません。

今後は、支援団体や地方自治体が連携し、相談窓口を設置して技能実習生が抱える問題に対応する仕組みを整えることが求められます。

6. まとめ

近年、技能実習生の借金問題に対する関心が高まってきたように思います。今後、技能実習生制度を見直す過程で、送出し機関や仲介者に対する規制も一層厳しくなると思われます。

中には悪質な送出し機関や仲介者があることも事実で、そのような機関は今後その対象になる可能性があります。とすれば、そのような機関と結びついている監理団体の存在が危うくなる恐れがあり、今後は優良な監理団体が生き残っていくことでしょう。

その見極めは重要です。経験や知識だけでなく、愚直にサポートやフォローを行っているか否かが一つのポイントになるのではないかと思います。 今後の政府がどのような方向性をとるのか、注目したいと思います

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