本記事では、「これから外国人を雇うことを考えているけれど、どのように始めたらいいか分からない」という方に向けて、良く混同される技能実習と特定技能の違いについて解説します。
2つの制度は良く似ていますので、どちらの制度を使って外国人雇用を進めるか悩まれている方は多いと思います。
以下、そもそも技能実習制度と特定技能制度は何かを説明してから、2つの制度の違いについて解説します。
1.外国人雇用の種類
(1) 技能実習制度
技能実習制度は、日本が先進国としての役割の一つとして、開発途上国への技能や技術の移転を図ることを目的とした制度です。
ですので、基本理念の一つとして「労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと」というのがあります。つまり、労働力不足を補うために技能実習制度を用いることは、本来の制度趣旨から外れてしまいます。
ですが、現状の日本は労働力が不足しており、実際には若手の外国人労働者を確保するために技能実習制度を用いるケースが多く、「労働力の需給の調整の手段」となっています。
この制度と実情の齟齬を解消すべく、2024年6月14日に育成就労制度が成立しました。実際にこの制度が始まるのはまだ先のことですが、技能実習制度にかわる制度になります。今回は特に触れませんが、この制度の動向についても今後注目することが必要です。
なお、技能実習生の人数は以下の通りです。2021年は恐らくコロナ禍の影響で減少しましたが、その後増加傾向になり、2023年12月末には40万人を突破しました。

(「出入国在留管理庁HP」参照)
(2) 特定技能制度
特定技能制度は、人材確保が難しい産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とした制度です。
在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月より受入れが可能になりました。特に人材不足が深刻と認められた12分野(14業種)に限られていましたが、2024年3月29日の閣議決定により、対象分野を16分野に拡大することが予定されています。
なお、特定技能の人数を年々増え続けており、2023年12月現在では、前年同時期と比べて159%の割合に増えています。

(「出入国在留管理庁HP」参照)
(3) 各制度の目的のまとめ

2.技能実習生と特定技能の違い
(1) 各項目の違い
ⅰ目的
技能実習生の目的は発展途上国への技術移転であるのに対し、特定技能の目的は人材不足の補填です。それぞれの制度の目的が根本的に異なることから、いくつかの違いが見られます。
ⅱ機関
技能実習生を受け入れる機関は監理団体(組合)が大半で、基本的に非営利法人になり、許可要件は厳格です。対して、特定技能は登録支援機関であり、許可要件は緩やかです。
登録団体の許可件数は、監理団体が3,739件(2024年6月21日現在)、登録支援機関が9,882件(2024年8月16日現在)あり、登録支援団体が約3倍の多く存在します。
ⅲ職種
技能実習は、90職種、166作業に及びます(2024年8月1日現在)。そもそも研修制度であった歴史的事情があり、職種や作業項目が非常に細分化されています。
対して、特定技能は12分野(今後16分野になる予定)です。深刻な人材不足に陥っている分野を選定しているので、職種という区分けではなく「分野」という区分けになります。
ⅳ在留期間
技能実習は原則1年間ですが、技能実習第2号・第3号と更新していくと最長で5年間の在留が可能です。
特定技能は原則5年ですが、特定技能2号となると在留期間の上限が無くなります。
ⅴ資格要件
技能実習制度の資格要件はありません。対して、特定技能制度では、労働力補填を目的としているので、最低限度の日本語能力と技術力が要件となります。具体的には、一定の日本語能力(N4等の日本語検定の合格)と一定の技能を有することの証明(試験合格等)が必要です。
ⅵ転籍の可否
技能実習制度では、原則として転籍ができません。対して、特定技能制度では、転籍が認められています。
ⅶ受入人数
技能実習制度のそもそもの目的は研修なので、一般に教えることのできる人数以上の受入れはできません。具体的には、以下の表のとおりです。なお、優良企業に認定されれば、この人数の枠は更に広がります。
対して、特定技能制度には人数の制限がありません。

ⅷ家族帯同
技能実習制度では家族帯同は認められていません。あくまでも研修期間であり、終了後は帰国することが想定されているからです。対して、特定技能制度では家族帯同が認められています。
(2) 比較一覧


3.まとめ
一見分かりにくい技能実習制度と特定技能制度ですが、違いがお分かりいただけましたでしょうか。成立背景が異なりながらも、情勢に合わせて改正を重ねていった結果が今の形になっています。
先ほども触れましたが、技能実習制度は廃止となり、育成就労制度へと発展的に移行する予定です。現状の技能実習制度が、実質的に労働力の需給の調整に適応されている実情を踏まえての改正になります。
また違う記事で、新しい育成就労制度と技能実習制度との違い、特定技能制度との関連についてや制度移行の現状についても解説したいと思います。

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